学校の「当たり前」は、なぜ続いているのか

学校の当たり前を形式・意味・礼行という視点から考える教師の思想塾の記事

学校には、たくさんの「当たり前」があります。

朝、子どもたちが挨拶をする。
給食では、当番の子どもたちが配膳する。
自分たちが使った教室を、自分たちで掃除する。
係や当番を決め、みんなで役割を分担する。

私もこうしたものを「学校とはそういうもの」として受け入れていました。
けれど、教師を長く続けていると、ときどき立ち止まって考えることがあります。

そもそも、なぜこれをするのだろう。

今回は、学校にあるさまざまな「当たり前」について考えてみたいと思います。


目次

「どうするか」を考えるのが、教師の仕事術

教師の仕事には、多くの「やり方」があります。

授業をどう組み立てるのか。
子どもにどう指示するのか。
学級をどう運営するのか。
仕事をどう効率化するのか。
ICTやAIをどう活用するのか。

こうした、「どうするか」を考えることは、とても大切です。

私自身、「教師の仕事術」という名前で、長くこうした実践を考えてきました。

やり方を知ることで、授業が変わる。
仕事が速くなる。
子どもへの対応が変わる。

技術を学ぶことには、大きな意味があります。

でも、教師を続けているうちに、私は「どうするか」だけでは十分ではないと感じるようになりました。

もう一つ必要なのが、「なぜするのか」という問いです。

学校には、たくさんの「形式」がある

例えば、掃除です。

日本の学校では、子どもたち自身が教室や廊下などを掃除します。

私たち教師にとっては、見慣れた光景です。

でも、少し離れて考えてみると、

「なぜ子どもが掃除をするのだろう。」

という問いが生まれます。

教室をきれいにすることだけが目的なら、別の方法も考えられます。

挨拶もそうです。
当番もそうです。
係活動もそうです。

学校には、「こうするもの」として長く繰り返されてきた行為や活動があります。

教師の思想塾では、こうした、

教育現場で繰り返される行為や活動の「型」を「形式」と呼ぶことにします。

掃除をする。
挨拶をする。
当番活動をする。
指導案を書く。
会議をする。

これらはすべて、一つの「形式」として見ることができます。

形式の奥には「意味」がある

では、なぜ、その形式が存在するのでしょうか。

ここで考えたいのが、

「意味」

です。

教師の思想塾では、

形式の背景にある目的・理念・意図を「意味」と呼びます。

例えば、挨拶。

「朝、先生に会ったら挨拶をしましょう。」

という形式があります。

でも、本来大切なのは、

決められた言葉を発することだけではないはずです。

相手の存在を認める。
人との関係をつくる。
気持ちよく一日を始める。

そこには、形式の奥にある意味があります。

掃除も同じです。

「掃除の時間になったから、ほうきを持つ。」

という行動だけを見るのではなく、

なぜ自分たちで使った場所を自分たちで整えるのか。

そこに、どんな教育的な意味があるのか。

そう考えてみる。

すると、毎日何気なく繰り返している学校生活の見え方が少し変わってきます。

「意味」が失われ、「形式」だけが残る

ただ、長く続いているものほど、ある問題が起こります。

意味が忘れられ、形式だけが残ることです。

「掃除の時間だから掃除する。」
「当番だからやる。」
「決まりだから挨拶する。」
「指導案を提出しなければならないから書く。」

もちろん、形式を守ること自体が悪いわけではありません。

最初は意味が分からなくても、形から入ることもあります。

問題なのは、

「なぜするのか」が完全に失われたまま、形式だけが目的になってしまうこと

です。

例えば、教師が、「挨拶をしなさい。」と指導するとします。

では、なぜ挨拶をするのでしょうか。

子どもが教師に挨拶をしたら、それで目的は達成されたのでしょうか。

あるいは、学校で決められた挨拶運動を実施できれば、それでよいのでしょうか。

形式だけを見ていると、

「やったか、やらなかったか。」

だけが評価基準になってしまいます。

でも、意味まで考えると、問いはもっと深くなります。

「礼行」という考え方

そこで、教師の思想塾では一つの言葉を置いてみたいと思います。

「礼行」

です。

ここでいう「礼行」は、一般的な用語としてではなく、教師の思想塾で使う一つの考え方として定義します。

「意味」と「形式」が一致した営み。

これを「礼行」と呼びます。

例えば、挨拶。

最初は、

「先生に言われたから挨拶する。」

でも構いません。

まず形式を身につける。

そこから、

なぜ挨拶をするのか。

挨拶をすると、相手との関係にどんな変化があるのか。

そうした意味が少しずつ分かってくる。

そして、意味を理解した上で、自然に挨拶ができるようになる。

そこでは、

「挨拶する」という形式と、「なぜ挨拶するのか」という意味が結びついています。

これが、教師の思想塾で考える「礼行」です。

教師の仕事にも「礼行」がある

この考え方は、子どもの行動だけに当てはまるものではありません。

教師の仕事にも当てはめることができます。

例えば、指導案。

「提出しなければならないから書く。」

のであれば、形式だけになっているかもしれません。

でも、

授業について深く考えるため。
自分の授業技量を高めるため。
他の教師と知恵を共有するため。
自分の実践を後に残すため。

そうした意味を理解した上で指導案を書くのであれば、同じ「指導案を書く」という行為でも、その意味は変わります。

形式は同じです。

でも、

何のためにそれをしているのかを理解しているかどうか

によって、その営みの質は変わります。

掃除。挨拶。授業。当番活動。学級会。学校行事。研修。会議。指導案…。

教師の仕事にも、学校生活にも、さまざまな「形式」があります。

そこに「意味」が重なったとき、その営みは「礼行」になる。

私は、そんなふうに捉えています。

形式そのものを否定したいわけではない

ここで大切なのは、

「昔から続いている学校文化は古いからやめよう。」

という話ではないことです。

形式には、形式の価値があります。

意味を一から考えなくても、先人が積み重ねてきた型を受け継ぐことで学べることがあります。

子どもにとっても、最初からすべての意味を理解して行動することは難しいでしょう。

まず形から入る。
繰り返す。
その中で、少しずつ意味が分かってくる。

そういう学びもあります。

だから、

「形式か、意味か」ではありません。

形式だけでもない。
意味だけでもない。

その二つが結びついていることが大切なのだと思います。

逆に、「意味」が変われば形式も変えていい

そして、もう一つ考えたいことがあります。

意味を考え直した結果、

今までの形式を変えた方がいい

ということもあるはずです。

時代は変わります。
子どもも変わります。
社会も変わります。
学校を取り巻く環境も変わります。

昔は、その目的を達成するために最適だった方法が、今も最適だとは限りません。

だからこそ、

「昔からこうしているから。」

だけで形式を守るのではなく、

「そもそも、何のためにやっているのか。」

に戻って考える。

意味が分かれば、今の形式を大切に残すという判断もできます。

少し変えるという判断もできます。

場合によっては、やめるという判断もできるでしょう。

意味を問い直すことは、伝統を壊すことではありません。

むしろ、

何を残し、何を変えるのかを考えるために必要なこと

だと思います。

「なぜ?」と考える教師でありたい

学校には、たくさんの「当たり前」があります。

長く教師をしていると、自分自身もその当たり前に慣れていきます。

だからこそ、ときどき、

「なぜ?」

と問い直してみる。

なぜ掃除をするのか。
なぜ挨拶をするのか。
なぜ当番があるのか。
なぜ学級という単位で生活するのか。
なぜこの行事をするのか。
なぜ指導案を書くのか。

答えは、一つではないと思います。

そして、すぐに答えが出ない問いもあります。

それでも、

「なぜするのか」を考えること自体に意味がある。

私はそう思っています。

「どうするか」と「なぜするのか」

教師の仕事術では、「どうするか」を考えます。

仕事をどう改善するのか。
授業をどうつくるのか。
AIをどう使うのか。
時間をどう生み出すのか。

一方、教師の思想塾では、「なぜするのか」を考えます。

なぜ教師はそれをするのか。
なぜ学校にはその文化があるのか。
そもそも教育とは何なのか。
どう働くのか。
どう生きるのか。

「どうするか」を考えるだけでは見えないものがあります。

「なぜするのか」だけを考えていても、現場は動きません。

だから、どちらも必要です。

そして、その二つをつなぐところに、

形式と意味が一致した「礼行」

がある。

学校にある当たり前を、ただ守るのでも、ただ否定するのでもない。

その奥にある意味を考えてみる。

そこから、これからの学校や教師のあり方を考えていく。

それが、「教師の思想塾」でやってみたいことの一つです。


教師の仕事を、もっとシンプルに。

毎日の仕事に追われ、
「もっと余裕を持って働きたい。」
そう感じたことはありませんか?

「教師の仕事術 5日間プログラム」では、

  • 教育の生産性を高める4つの仕事領域
  • 定時退勤を叶える3つのマインドセット
  • 朝時間で事務処理を終わらせるルーティン
  • 授業効率化と質を両立する3つの視点
  • 校務分掌をスマートに進める仕組み化

を、5日間の音声と文章で無料でお届けしています。

仕事だけでなく、自分や家族との時間も大切にしたい先生へ。

▶ 教師の仕事術 5日間プログラムはこちら

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次