AIに任せる仕事、教師にしかできない仕事

AIに任せる仕事と教師にしかできない仕事を教育の生産性から考える記事

AIが教育現場でも使われるようになって、
「教師の仕事は、これからどう変わるのだろう。」
と考えることが増えました。

授業案を考える。ワークシートをつくる。文章を書く。教材をつくる。

これまで教師が時間をかけていた仕事の一部を、AIがかなり手伝ってくれるようになっています。

では、教師はできるだけ多くの仕事をAIに任せればいいのでしょうか。

私は、そう単純ではないと思っています。
AI時代になった今、改めて考えたいのが、

「教師は、何に時間を使うべきなのか」

という問いです。


目次

昔つくった「教育の生産性」という考え方

私は以前、『教師のための働かない働き方』の中で、「教育の生産性」という考え方を紹介しました。

教師の仕事を、

教師が使う時間子どもの成長

という2つの軸で考えます。

すると、仕事は大きく4つに分けられます。

A Win-Win

教師が使う時間は少なく、子どもの成長は大きい。
最も増やしたい仕事です。

B カイゼンの余地

教師は多くの時間を使うけれど、子どもの成長も大きい。
価値はあるけれど、もっと効率化できないか考えたい仕事です。

C 教師のエゴ

教師は効率よくできるけれど、子どもの成長にはあまりつながっていない。
「本当に必要なのか」を考える必要があります。

D 学校の悪習

教師の時間を多く使うのに、子どもの成長にもほとんどつながっていない。
できるだけなくしたい仕事です。

この考え方をつくった頃、今のような生成AIはありませんでした。

でもAI時代になった今、この図を改めて見ると、
基本的な考え方は何も変わっていない
と感じます。

目指すのは、今も同じです。

できるだけ少ない教師の時間で、子どもの成長を大きくする。

つまり、Aを増やしていくことです。
ただし、AIによって、その方法が大きく変わり始めています。

AIは、BをAへ近づけてくれる

例えば、子ども一人ひとりに合ったワークシート・問題をいくつか用意したいとします。

教育的な価値は高い。
でも、30人分を教師が一から考えてつくれば、大変な時間がかかります。

これは、これまでならBに近い仕事だったかもしれません。

ところがAIを使えば、問題の難易度を変える。

例題を増やす。
文章量を調整する。
複数パターンの問題をつくる。

といったことが、以前よりずっと短時間でできるようになります。

教材づくりだけではありません。

プリントの原案。
授業で使う問題。
説明文。
個に応じた課題。

これまで、

「やった方がいい。でも時間がない。」

と思っていたことの一部を、AIが助けてくれる。

つまり、

Bだった仕事を、Aに近づけることができる。

これはAIが教育にもたらす、とても大きな可能性だと思っています。

それでも、Bに残る仕事がある

一方で、ここが今回とても大切だと思っているところです。

Bにある仕事を、すべてAにすればいいわけではありません。

教師が時間を使う。
効率は悪い。

それでも、

時間をかけること自体に意味がある仕事

があります。

例えば、

一人の子どもの話をじっくり聞く。
最近少し元気がない子の様子を見る。
うまくいかなかった子と一緒に考える。
その子の特性を踏まえて、どんな支援が合うのか悩む。
保護者と話しながら、その子のことを考える。

こうした仕事は、効率だけを考えれば時間がかかります。

AIに、

「この子にはどう対応すればいい?」

と聞けば、いくつもの案を出してくれるでしょう。

それも参考になります。

でも、

昨日の表情。
休み時間の何気ない一言。
友達との関係。
最近の小さな変化。
これまで積み重ねてきた関係。

そうしたものを感じながら、目の前の子どもと向き合うのは、その場にいる教師です。

だから私は、

Bには、人間にしかできない「価値ある非効率」が残る

と思っています。

AIで効率化するのは、人と向き合う時間をつくるため

ここまで考えると、
AIを使う目的も少し変わって見えてきます。

AIで教師の仕事を効率化する。

それは、
教師がもっと多くの仕事をするためではありません。

10分浮いたから、別の仕事を10分詰め込む。
30分浮いたから、さらに資料をつくる。

それでは、いつまでたっても教師は忙しいままです。

そうではなく、

AIでAを増やす。
AIでBの一部をAへ移す。

そして生まれた時間を、人間にしかできないBへ使う。

私は、この時間の再配分こそ、AI時代の教師の働き方ではないかと思っています。

Dは、なくす。なくせないならAIに任せる

そして、もう一つ。

Dの「学校の悪習」です。

教師が多くの時間を使う。

でも、子どもの成長にはほとんどつながらない。

こうした仕事については、

まず、

「AIで効率化できないか」ではなく、「そもそもなくせないか」

を考えるべきだと思っています。

やめられるなら、やめる。
簡略化できるなら、簡略化する。
それでも制度上、どうしてもやらなければならない。

そんな仕事なら、
AIやICTにできるだけ任せてしまう。

人間が貴重な時間を使って丁寧にやる必要はありません。

AIは、こういう仕事にこそ使えばいいと思います。

AI時代にも、教育の生産性という軸は変わらない

AIが登場すると、

「AIを使うべきか。」
「教師の仕事はなくなるのか。」
「どこまでAIに任せていいのか。」

と、どうしてもAIそのものに目が向きます。

でも、本当に考えるべきことは、もっとシンプルなのかもしれません。

この仕事は、子どもの成長につながっているだろうか。
そのために、教師がどれくらい時間を使う必要があるだろうか。

この2つです。

AIは目的ではありません。

教師の時間の使い方を変える、新しい手段です。

AIに任せることでAになるなら、任せる。
なくせるDなら、なくす。
AIでも代替できない、価値あるBには、むしろ時間を使う。

そう考えると、

「AIに任せる仕事」と「教師にしかできない仕事」の境界も、少し見えやすくなります。

教師の時間を、子どものために使う

教師の時間には限りがあります。

だからこそ、その時間をどこに使うのかを考える必要があります。

AIによって仕事が速くなること自体が、ゴールではありません。

AIを使うことで、
これまで事務作業や教材準備に使っていた時間が減る。

そして、その時間を、

子どもの話を聞く。
子どもの変化を見る。
一人ひとりに合った関わりを考える。
あるいは、教師自身が休み、余裕を取り戻すことに使う。

その結果として、子どもによりよく向き合えるようになる。

それが、私が考える教師のAI活用です。

AI時代になっても、

「できるだけ少ない教師の時間で、子どもの成長を大きくする」

という考え方は変わりません。

むしろAIが登場したことで、

「人間は、何に時間を使うべきなのか」

が、以前よりはっきり見えるようになってきたのかもしれません。


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この記事を書いた人

現役の小学校教員。「教師はもっと幸せになっていい」をモットーに、授業・校務・時間管理の仕事術を発信中。

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